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VOL.39

民法改正で設備故障時の賃料当然減額が明記される!対応方法は?

2019年6月21日|,
民法改正で設備故障時の賃料当然減額が明記される!対応方法は?

「民法改正で賃貸管理が大変になると聞いたけど本当?」「民法が変わると家賃が減るの?」民法改正に関して漠然とした不安を抱えていませんか?

 

2020年4月1日に施行される民法改正の中には、賃料減額について明記されています。賃貸経営をする上で法律の知識は必要不可欠ですが、むずかしい条文を見ても「何のことだかわからない!」と頭を抱えるオーナーもいるのではないでしょうか。

そこで今回は、民法改正で設備故障時の賃料当然減額が明記されること、またはその対応方法について解説します。難しい民法改正のことをできるだけわかりやすく紹介しますので、賃貸物件のオーナーはぜひ参考にしてください。

 

民法改正により発生する賃料減額のリスクとは

 

2020年4月1日に、約121年ぶりに民法が改正されます。

改正される民法の中には、賃貸借契約の見直しもあり、これまで以上に借主が守られることになりました。これまで曖昧だった賃貸借契約のルールが具体的に明記されるようになり、入居者の要望に対して適切な対応を取ることが求められています。

中でも賃料減額の改定については、適切に対応していかなければオーナーの収益に大きな影響を与えかねません。

 

それでは民法改正によりどのように賃料が減額されるのか、またはどの程度家賃を減額しなければいけないのか、詳しくみていきましょう。

 

民法改正前後で賃料がどう変わるのか

まずは賃料改正について記載がある、民法611条をみていきましょう。

民法611条は「賃借物の一部滅失による賃料の減額請求等」について定められていました。これは賃貸物件が正常な使用をできなくなった場合、破損や劣化状況に合わせて賃料減額の「請求ができる」という内容です。しかし改正では破損や劣化状況に合わせて賃料の「減額がされる」と変更になりました。

 

民法611条「借物の一部滅失による賃料の減額請求等」の内容比較
改定 改定
1、賃借物の一部が賃借人の過失によらないで滅失したときは、賃借人は、その滅失した部分の割合に応じて、賃料の減額を請求することができる。

 

2、前項の場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる

 

1、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、それが賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、賃料は、その使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて、減額される。

2、賃借物の一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合において、残存する部分のみでは賃借人が賃借をした目的を達することができないときは、賃借人は、契約の解除をすることができる。

 

 

これまでは破損状況に応じて「借主が減額請求できる」という借主の権利についてのみ定められていましたが、これからは破損状況があればオーナーは「借主が何も言わなくても賃料を減額することが当たり前」となります。

 

どの程度減額されるのか

もし賃貸物件に損傷が見つかった場合、オーナーはどの程度家賃を減額しなければいけないのでしょうか。

 

この点に関しては「使用及び収益をすることができなくなった部分の割合に応じて減額」という記載のみであるため「賃料の2~3割減額すべき」というような具体的な金額は明記されていません。そのため家賃の減額は貸主と借主の取り決めや話し合いによるところが大きいと読み取れます。

しかしながら懸念すべき点は「家賃を減らす額」ではなく「減額に応じる範囲」です。民法改正前は「その滅失した部分の割合に応じて」という記載でしたが、これからは「滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」に変更されました。

つまり、これからは賃料減額に応じなければいけない損傷範囲が広がってくるということです。

 

このことから、小さな損傷部分も見逃すことが難しくなりました。小さな劣化を放置してやがて大きな破損へと繋がった場合、オーナーの負担はより大きな金額となるかもしれないからです。

 

必ずしも減額されることではない

民法611条の改正により、オーナーが懸念することは「何でもかんでも減額しなければいけないのか?」という不安ではないでしょうか。借主の中には、たいして大きな損傷ではないのにも関わらず「初めから壊れていた」と権利ばかりを主張してくる人も一定数存在します。

しかし、すべての状況において借主が守られオーナーが賃料減額しなければいけないという定めはありませんので、安心してください。

これについては「賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときに減額」という定め通り、借主が破損の原因を作っていない場合に賃料が減額されます。つまり、借主が故意に壊したものに関しては、賃料減額に応じなくてもいいという解釈です。

 

ただし民法改正により賃料減額のリスクは高まったということには変わりありません。借主からの賃料減額請求が発生しないよう、オーナーの対応が重要になってきます。

 

民法改正後に発生が予測される賃料減額のケース

 

それでは、具体的にどんな損傷が賃料減額につながるのかみていきましょう。

 

「一部が滅失その他の事由により使用及び収益をすることができなくなった場合」というのは、本来使えるはずだった設備等がその機能を発揮しないことです。具体的にどんな請求が賃料減額につながるのか、可能性がある例をあげていきます。

 

賃料減額につながる可能性が高い破損例

●雨漏りや雨漏りの痕跡

●カビの発生

●給排水の詰まり

●エアコンの劣化

●換気扇の不具合

●便器の故障

●戸が開閉しにくい

●キッチンの防火対策がされていない

 

借主の責任ではない劣化と判断された損傷においては、基本的に減額対応となります。また「以前から壊れていた」と請求があれば、壊れたことで不便を感じていた期間の賃料を返金する可能性も否定できません。

 

以上のことから、借主から賃料減額請求される機会が格段に増えることが予測されます。これまでよりも賃貸経営が難しくなり、場合によっては収益ダウンする恐れもあるでしょう。

 

民法改正後に賃料減額請求を防ぐための対処法3つ

 

このような現状を踏まえ、オーナーは家賃減額請求を防ぐために対策を講じておく必要があります。できるだけ入居者から賃料減額請求が起こらないための対策を3つ紹介していきますので、できることから始めていきましょう。

 

日常的なメンテナンス

日々、賃貸物件を管理し、小さな破損も見逃さないように心がけましょう。

メンテナンスに必要なのは修繕費用です。オーナーは家賃収入から修繕費を確保しておき、劣化が見つかる都度、できるだけ修繕していきましょう。

「まだまだこの程度なら大丈夫」と悠長に構えていては賃料減額のリスクが高まります。入居者からクレームが発生しないよう、トラブルを未然に防ぐためのメンテナンスを行ってください。

 

入居者との信頼関係の構築

入居者から気軽に破損報告をもらえる程度に、信頼関係を構築しておきましょう。

メンテナンスのために、物件を見回り劣化部分をチェックすることは大切です。しかし、外壁や屋根、浄化槽などは外部からの目視や外注業者との連携でチェックできますが、室内の劣化をオーナーが目で見て確認することはできません。

そのため入居者から損傷の報告があったら、賃料減額請求される前に速やかに修繕対応することが求められます。オーナーが快く修繕対応に応じ、入居者からの信頼を得ることができれば、賃料減額のトラブルに発展することは少ないと考えられます。

 

入居前に設備機器の動作確認をしておく

設備が正常に動作していたか入居前点検を行いましょう。

 

設備が故障していたすべての期間分の賃料減額を請求される可能性があります。そのため「いつから壊れていたか」と確認することが非常に重要です。入居前に動作確認を行い、使用できる状況かどうか記録し、書面に残すようにしましょう。

必要であれば入居者立会いのもと、設備機器の動作確認することも検討してください。

 

これまで通りの運営はリスク大!プロに管理を頼もう!

 

オーナーの迅速な対応と法律の知識なくして、賃貸経営で利益をあげていくことは非常に難しい時代となりました。

民法改正が賃料に及ぼす影響についておわかりおただけたと思います。民法改正は約200項目にも及び、賃料減額請求以外にもオーナーがやるべきことは各段に増えていくでしょう。

 

これまで通りの運営にはリスクを伴うため、豊富な知識とノウハウを持つプロに管理を委託することが有効的な手段です。

管理を委託できる不動産会社には、「管理委託」「サブリース」の2つ業務内容があります。

 

管理委託 入居者の対応や建物管理のサポート

契約内容によって管理の範囲が左右する

サブリース 賃貸物件を丸ごと業者に貸す

運営に関するすべての業務を一任する

 

管理委託は管理してもらう業務内容を選択できますが、サブリースは賃貸運営のすべてを一任することになります。どの程度管理をしてもらえるのかによって、契約料も異なるため契約時には金額を確認してください。

 

オーナー自身が経営に関わりたいか、すべてお任せしたいかによってどの程度管理をお任せするのか選んでいきましょう。

 

まとめ

 

民法改正後も収益を守るためには、これまで以上の物件管理能力が求められます。

胡坐をかいて収益を待つ時代ではなくなり、オーナーは時に入居者に対してサービスを行うことも必要です。適切に物件を見回り、建物チェックや迅速なクレーム対応を行わなければいけません。しかしオーナーの中には、遠方に住んでいたり本業が忙しかったりするなど、これまで以上の対応が難しいと感じる人も多いのではないでしょうか。

そこで、民法改正に備えた管理体制を整えるために、業者へ管理委託することも検討してみましょう。賃貸管理の難易度は上がり、リスクも高くなった現代の賃貸管理業はプロの手助けが大いに役立ちます。

 

民法改正後も収益を守れるよう、管理の一部を委託する不動産管理業者、棟丸ごと委託できるサブリース業者など、管理ビジネスを手掛けている業者を頼っていきましょう。

 

当社は自社内に修繕・リフォーム部門を持っており、最低限の出費で最大の効果を上げられるよう、修繕についてもご提案させていただきます。

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