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VOL.40

専有部の修繕計画と原状回復のガイドライン

専有部の修繕計画と原状回復のガイドライン

「できるだけ修繕費用を安く済ませたい」「なるべくギリギリまで修繕したくない」

 

修繕費用はマンションオーナーにとって楽観視できない大きな出費です。「修繕費用を抑えつつ、入居者とのトラブルや賃料減額は避けたい」というのがオーナーの本音ではないでしょうか。

なるべくオーナーの修繕費用の負担を軽減させつつ、修繕費用を抑えるためには、原状回復のガイドラインに沿った修繕計画を立てていかなければいけません。

 

このページでは、分譲マンションの専有部の修繕計画と原状回復のガイドラインについてわかりやすく解説します。分譲マンションで不動産投資を考えているオーナーは必見です!

 

分譲マンションの修繕に関する基礎知識

マンションの場合、ひとことで「修繕」とは言っても場所によって修繕方法や責任者が異なります。

例えオーナーであっても簡単に手を加えられない個所もあるため、まずはマンション修繕に関する知識を再確認していきましょう。

 

専有部分と共用部分の違い

すでにご存知のオーナーも多いと思いますが、マンションには「共用部分」と「専有部分」に分かれています。エントランスやエレベーターは「共用部分」であり、居住スペースは「専有部分」に該当します。

 

それでは、ベランダや宅配ボックス、電気設備はどうでしょうか?

国土交通省で配布している「マンション標準管理規約(単棟型)」の一部を抜粋します。

 

≪専有部分と共有部分の違い≫

専有部分 共用部分
1天井、床及び壁は、躯体部分を除く部分を専有部分とする。

2玄関扉は、錠及び内部塗装部分を専有部分とする。

3窓枠及び窓ガラスは、専有部分に含まれないものとする。

1エントランスホール、廊下、階段、エレベーターホール、エレベーター室、共用トイレ、屋上、

屋根、塔屋、ポンプ室、自家用電気室、機械室、受水槽室、高置水槽室、パイプスペース、メーターボックス(給湯器ボイラー等の設備を除く。)、内外壁、界壁、床スラブ、床、天井、柱、基礎

部分、バルコニー等専有部分に属さない「建物の部分」

2エレベーター設備、電気設備、給水設備、排水設備、消防・防災設備、インターネット通信設備、

テレビ共同受信設備、オートロック設備、宅配ボックス、避雷設備、集合郵便受箱、各種の配線配

管(給水管については、本管から各住戸メーターを含む部分、雑排水管及び汚水管については、配

管継手及び立て管)等専有部分に属さない「建物の附属物」

3管理事務室、管理用倉庫、清掃員控室、集会室、トランクルーム、倉庫及びそれらの附属物

 

 

実は、ベランダや宅配ボックス、電気設備部分はすべて「共用部分」です。バルコニーは共用部分ではありますが、専有部分の所有権者には「使用権」が与えられています。

そのため、分譲マンションの一室オーナーであった場合は、勝手に共用部分を修繕することはできません。

 

独断での修繕作業はリスク大

マンションを修繕するためには、管理規約に従う必要があります。例え専有部分であっても管理規約を無視した修繕を加えることはできません。

管理組合や管理業者が経営に関わっている場合、承認を得なければ後々トラブルに発展する可能性があります。不動産会社に管理を依頼している場合は、リスク回避のために所有物件であっても必ず修繕前に連絡を入れておきましょう。

 

マンションの専有部分を修繕するときの原状回復義務について

マンションに入居者がいる場合、入居者にも原状回復義務という修繕義務が生じます。しかし、借主に請求できるのは修繕費用の一部であり、全て費用を請求することはできません。

この修繕負担はオーナーと入居者の間でトラブルが発生しやすい問題のひとつで、国土交通省では問題解決のために原状回復ガイドラインを提供しています。

そこで、原状回復の費用負担割合はどの程度になるか、原状回復ガイドラインを見ながら確認していきましょう。

 

修繕負担義務と原状回復ガイドライン

 

まずは劣化部分を修繕する費用負担の割合について理解しておきましょう。劣化には「通常消耗」と「過失による損傷」とに分けられます。

このうち、入居者に請求できるのは過失による損傷です。過失による損傷には、「故意」「注意義務違反」「通常の使用を超える消耗」などが含まれます。具体的な劣化を表にまとめました。

 

≪原状回復ガイドラインによる修繕負担義務≫

通常消耗(オーナーの負担) 借主の過失による損傷(入居者負担)
・家具下のへこみや設置跡

・フローリングの変色

・テレビ台の後ろの電気焼け

・壁に貼ったポスターの跡

・エアコンのビス穴

・クロスの変色

・壁のピン穴

・地震によるガラスのヒビ

・荷物の搬入でついたひっかき傷

・落書き

・タバコのヤニの臭いや汚れ

・重量物をかける釘穴

・個人設置したエアコンの水漏れによる腐食

・ペットのひっかき傷や臭い

・鍵の紛失による交換費用

 

借主に請求できるのは、借主が通常よりも雑に扱った場合に発生した損傷です。家具を配置したら床が日焼けしたというような「普通に生活していても発生してしまう劣化」については、修繕費用を請求できません。

 

マンションの修繕費用は資金計画に組み込んでおく

入居者入替時には、ハウスクリーニングや修繕を実施して次の入居のために備えておくことが必要です。また設備が古くなってきた場合は、家賃減額対策として設備交換も検討しなければいけません。

このような予想外の出費に対応できるよう、修繕費用は計画的に貯めておきましょう。修繕積立金の運用方法として、積立型マンション保険や住宅金融支援機構が実施している一般担保債券などもあります。

 

マンションの修繕計画を立てるときの注意点

投資マンションの修繕では、思わぬ出費がかかることがあります。

入居者がどんな生活をしているのかのぞき見することができないため、退去時に予想外の劣化が発生していることも想定しておかなければいけません。

 

ファミリータイプの部屋はより修繕費用がかかる

単身用とファミリータイプを比べると、ファミリータイプの方が修繕費用はかかります。

ファミリータイプは家族人数が多いため、ワンルームよりも室内設備が多めに設置されています。エアコンの台数やドアの数、機能性を重視したシステムキッチンなど、設備の数だけ修繕個所や費用が必要です。

また世帯人数が多ければ多いほど、室内にいる時間が長く、設備の使用回数も増えるため、通常消耗であっても単身者よりは劣化が早くなると考えておきましょう。

 

オーナーが負担することになるグレーゾーンにも要注意

劣化には、借主が負担すべき原状回復義務とオーナーが修繕すべき部分があると解説しました。しかし、劣化には「オーナーが修繕義務を怠ったせいで発生した損傷」もあります。この損傷に関しては、借主に請求できないことがあるため、注意しましょう。

オーナーが修繕義務を怠ったせいで発生したと考えられる損傷
・入居者から結露があると相談を受けていたのに対応しなかったためカビが発生した

・洗面化粧台から水漏れがあったが放置していたため退去時に床が腐食してしまった

オーナーが適切に修繕を怠っていたせいで、大きく損傷してしまった場合は、当然のことながら借主に修繕費用を請求することはできません。修繕費用を大きくしないためにも、日ごろから入居者の修繕対応をしていくことも、修繕計画の一環と言えます。

 

修繕はトラブルが発生しやすい!事前の対応を心がけよう

専有部分の修繕で、借主側とのトラブルを回避するためには、原状回復ガイドラインを深く理解し、定期的に入居者の修繕対応にあたることが大切です。大きな損傷が見つかる前に、小さな劣化を定期的に修繕していけば、結果として修繕費用も削減できるでしょう。

もし、修繕対応が難しい場合は、賃貸管理を専門としている不動産会社を頼るのも有効的な手段です。賃貸管理会社では、定期的な室内点検と入居者からの修繕対応、業者への発注など修繕に関するすべての対応をこなしてくれます。

さらに、修繕費用を貯めるための資金計画についてもアドバイスをもらうことが可能です。

 

まとめ

分譲マンションの修繕計画を立てるときは、専有部分と共用部分の違いを理解し、修繕できる個所かどうかを確認することから始めましょう。また、オーナーが負担すべき部分と借主に請求できる部分もあるため、原状回復のガイドラインを確認しておくことが大切です。

大きな劣化はちょっとした違和感からはじまります。修繕費用を軽減させるためには、日ごろから適切に修繕対応をしていきましょう。

 

賃貸管理に特化した不動産会社を選択することも、有効的な修繕計画のひとつです。修繕に不安を感じるときは、オーナーの不安や負担を少しでも軽くするため、専門家の知識を頼ってみてください。

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