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VOL.44

「民法改正で何が変わる?」~連帯保証編~

2020年4月14日|| by 上田
「民法改正で何が変わる?」~連帯保証編~

不動産業界を揺るがした約120年ぶりの「民法改正」、いよいよ2020年4月1日からの施行となりました。

そのうち賃貸借契約については、大きく分けて3つの分野での変更がありました。

 

1.賃貸借契約から生じる債務の保証のルール

「個人連帯保証の極度額設定」 ~情報提供義務、元本確定事由

2.賃貸借終了時のルール

「賃借人原状回復義務及び収去義務等の明確化」

「敷金に関するルールの明確化」

3.賃貸借継続中のルール

「賃借物の修繕」 ~家賃減額の当然減額、賃借人の補修権利

「賃貸不動産が譲渡された場合のルールの明確化」

このうち今回は「個人連帯保証の極度額設定」等についてのご説明をさせていただきます。

 

連帯保証人ってどんな責任があるの?

賃貸借契約において借主は連帯保証人を求められることが一般的です。

連帯保証人は賃料や更新料、退去時の原状回復費用など賃貸借契約におけるすべての債務(簡単にいうと支払いの義務です。)を借主と同等に負います。貸主は、万一借主が支払いを契約通りに行うことができなくなった時のために、契約審査の際に連帯保証人を求めます。

最近では申し込み時に連帯保証人がいない場合に、債務を立て替えて貸主に支払う家賃保証会社を利用するケースも一般的となっていますが、家賃保証会社は貸主と連帯保証契約を交わしているわけではなく、賃貸借契約における連帯保証人と同等ではありませんので、すべての債務を立て替えるわけではありません。

では連帯保証人はどこまで保証をすればよいのでしょうか。

今までは「一切の債務」であり、契約上の債務の連帯保証金額に上限はありませんでした。

例えば借主が貸室をゴミ屋敷にしてしまったような場合、賃料以外にゴミ撤去費用や貸室の補修費用、清掃費用など何百万円もの債務が発生するときがあります。

家賃金額から判断して連帯保証を引き受けた人が、突然家賃以外の想定外の高額な債務を負うケースも可能性としてあり得るのです。

 

極度額とは…「債務の最大負担額」

前述のごみ屋敷のようなケースから連帯保証人を保護するために、今回の改正で「極度額の設定」という形で連帯保証人の保証の範囲が限定されました。

「極度額」とは、連帯保証人が借主と同等の責任を負う「債務の最大負担額」のことです。貸主はあらかじめ契約に際して「極度額」を定めなければならず、定めがない連帯保証は無効となります。

 

金額はいくらが妥当?

まだ判例はありませんが、賃料に比較してあまりに高額な極度額は無効となります。

貸主としての極度額は高いほど安心ですが、どこまでが無効にならない金額かは明確なガイドラインはなく、現状は業界意見や今後の判例などを参考に都度設定するよりありません。

弊社では賃貸借期間2年間の賃料金額に加えて、専有面積に比例した特殊清掃やゴミ撤去費用、また訴訟費用などのリスクを加味した極度額を設定しています。(各社様々です。)

また、孤独死や火災被害などのケースでは、家財総合保険や家賃保証会社の特約などの利用によってある程度リスクを避けることができるため、積極的に貸室に付帯し極度額が高くなりすぎないようにしています。

 

借主が死亡したら連帯保証はどうなるの?

これについては「元本確定事由」というルールが新たに設定されました。

借主が死亡すると元本が確定するので、連帯保証人は借主の死亡までの債務の金額までの保証をすればよいのです。

つまり死亡後の原因によるお部屋の修繕(生前の原因による原状回復は含みません)や賃料などの債務から免れることができるのです。

また逆に連帯保証人が死亡した際も元本は確定しますので、新しい連帯保証人を設定しない限り、その賃貸借契約は連帯保証のない契約になってしまいます。

 

債務があるかどうか知りたい!

また連帯保証人が知らないうちに多額の債務の保証をしていることにならないよう、連帯保証人から借主の債務の情報の開示要求があった際、貸主はそれに応える義務があり、借主はそれに対して異議を唱えることはできません。

 

連帯保証人の保護と入居審査のジレンマ

ちなみに家賃保証会社と貸主の間の家賃保証契約には、従来より保証限度額が設定されていますので、極度額の設定は不要となり、元本確定事由も適用されません。

但し、家賃保証会社の入居審査については変更があり、個人契約の連帯保証人付きの審査を受け付けられなくなりました。(各社違いあり。)

また今後は連帯保証人だけで入居したい申込者に対して、貸主がお部屋を貸すことに消極的になるケースは増大するかもしれません。

貸主は極度額を超える金額を請求することができず、また借主や連帯保証人の死亡で元本が確定するためリスクが高いと判断するためです。

ただ連帯保証人契約であるという理由だけでお申し込みを断ってしまうのは、優良な申し込みも失ってしまうことになり、オーナー様にとっても不利益となります。

改正内容を正しく理解した上、適切な審査基準を設け契約の取り扱いを行うことで、連帯保証人の契約申し込みに対して消極的一方にならなくてもすむでしょう。

 

民法改正は賃貸不動産業界のみならず、お部屋を借りる消費者にも大きな影響を及ぼしたといえるでしょう。

 

次回は賃貸借契約で最もトラブルの多い「敷金と原状回復費用」についてです。

 

 

住宅リーシング 上田

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