東京都の「改正環境確保条例」に成立に伴う「EV充電設備の義務化」について
2022年12月、商業施設やオフィスビル、マンション(賃貸物件含む)などすべての新築建築物に
EV(電気自動車)充電設備の設置を義務づける東京都の「改正環境確保条例」が可決・成立しました。
条例の適用開始は2025年4月です。新築マンションには2025年度以降、
駐車台数の2割以上の充電設備の設置が義務付けられることになります。
東京都の目標ですが、以下の通りになります。
1 2030年までに都内のマンションに設置されるEV充電設備を6万基まで増やす
2 2030年までに都内の新車販売の50%をゼロエミッション車(ZEV)とする
東京都の決定にはなりますが、地球環境の維持・保全を目的とした再生可能エネルギーへの
切り替えを進めるために必要なことだと思います。
国連で唱えられているSDGsにも関わる目標ですよね。
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ただ、マンションの開発棟数を考えると一つのマンションにEV充電設備を2つ設置できたとしても
1.5万基ほどにしか届かないこともあり、新築だけでなく既存の共同住宅への導入が進まないと、
ZEV車同様、下方修正される目標値に感じます。
その為か可決に伴い、本年度から既存マンション向けの補助上限が引き上げられ、
EV充電器の設置は、補助金の活用でほぼ負担なく行えるようになっています。
ただし以降の維持費や使用料について明確な取り決めがないため、
なかなか既存住宅への導入への賛同は難しいように思えます。
さらに、管理上、充電設備導入にあたり問題はもう一つ考えられます。
急速充電設備でない場合はフル充電に何十時間も要することになるため、
充電したいタイミングで活用できないという問題が発生します。
近隣の急速充電器へ駆け込む、といった困り事が発生するかもしれません。
「充電設備があっても使えない」では意味がないので設置数や種類はしっかりと考える必要がありそうです。
また、前述したとおり、
・使用料を個人で支払うのか
・管理組合で支払うのか
・支払方法はどうなるのか
・維持費をどうするのか
といった部分が導入への争点と思います。
例えば、
「使用量でなく1基月額〇円の定額制導入」や
「設置後3年間まで・上限いくらといった補助金でなく、助成金を1基につき〇円、2035年まで」
といったようなガイドラインを東京都に作成してもらえれば、
EV充電設備を利用しない人でも携帯電話やインターネットの契約と同じように、
コストとして考えられるため、管理組合などでのEV充電設備導入への賛同を得られやすいと思います。
管理会社の立場としても導入を推し進める助力ができると感じています。