どうなる?「宅配ボックス」義務化をご存じですか。
2024年6月現在、ワンルームマンションを建築する際に
条例で宅配ボックスの設置を義務付けられている自治体は
全国でも
東京都「江東区」と埼玉県「川口市」のみとなっています。
単身者用ワンルームマンションの多い両自治体が
2024年問題解消のため義務化に踏み切ったのは良くわかります。
また入居者目線で見ても、設置されていないよりはあった方が嬉しい設備かと思います。
目安としては4戸に対し1つの設置が望ましいとされていますが、
実務運用上、設置義務の方向性は正しいと言えるのか?
少し私の考えを述べようと思います。
建物を管理する不動産会社の目線で言うと
新築ならば、
「宅配ボックス」と「オートロック」
は設備としてあって欲しい。
と考えます。
お部屋探しをする際に新築のきれいな建物なのに、
「え?この物件宅配ボックスもオートロックもないの?」
とユーザーが思ってしまうからです。
そういった意味では義務化をしなくても、設置スペースがあれば宅配ボックスを置こう、
といった考えが建設会社にもあるのが今の流れだと思います。
では、配送業者の目線からするとどうでしょうか?
配送会社の解決すべき問題は「20%以上ある再配達の数を減らす」という点です。
再配達を減らすために配送業者が取り組んでいることが
置き配の推奨になります。
この「置き配」と「宅配ボックス」は切っても切れない関係です。
なぜなら宅配ボックスのある物件では置き配先は宅配ボックスという原則があるからです。
そうすると
宅配ボックスが埋まっている時は荷物は持ち帰りとなり再配達する必要
が出てきます。
そういった際に私たち管理会社には入居者の方より、
宅配ボックスに入りっぱなしの荷物があるので急いで出して欲しい!
といったような連絡がきます。
たいていの場合いつも一部の入居者様が使い切っていることが多く
現地に行って入居者様に連絡を入れて、、、と結構な労力です。
結論、配送業者や管理会社からすると
「宅配ボックスの設置は本当はそれほどありがたくない」
ということが見えてきます。
管理会社目線で一番ありがたい配送業者の取り組みは
「オートロックのワンタイムパス発行による置き配業務」
だと思っています。
一部の企業ではオートロックのない建物へのオートロック設置の際に
配送業者と連携し、配達員が都度ワンタイムパスを発行することで
該当住戸の玄関先へ置き配が出来るようにしています。
そういったタイプのオートロックとなると通信設備と監視カメラの導入もセットになってくるので
若干のランニング費用は掛かってきますが、防犯面と資産性の向上に繋がる設備なので
オーナー様、入居者様、管理会社、配送業者、
4方でWin-Win の状況が生まれます。
条例化しても現在の行政による助成金の対象範囲は限定的の為
補助が十分とは言えない状況にあります。
もちろん宅配ボックスがあることは物件の資産価値が高まりますし嬉しいポイントです。
ただ、物件ごとに「+αで何が必要か」をオーナー様に提案できる管理会社であることが
数ある不動産会社の中で生き残るためのポイントのように思えます。
現状ワンルームマンションは特に住戸数に対して宅配ボックスの設置数が不足気味です。
お住まいの方は譲り合いの精神で早めの回収を心がけ、
2024年問題解解決の一助となって頂けますと幸いです。
参考:読売新聞